「女性の自立支援」を目標に、ルワンダコーヒーの輸入・販売を手がける東京外国語大学の学生団体FemmeCafeインタビュー 2016/5/28 先日、アフリカと日本を繋ぐ活動を行っているNGO団体「アフリカ理解プロジェクト」(URL)にお話を伺ってきました。 都内で開かれたあるイベントで「アフリカ理解プロジェクトhttp://africa-rikai.net」代表の白鳥くるみさんにお会いし、インタビューをさせて頂きました。 筆者:アフリカ理解プロジェクト(ARP)さんの活動内容について教えてください。 白鳥さん:ARPは日本でアフリカ理解を促進するさまざまな活動、例えばアフリカに関する本作りやARPが商品開発支援をしたハンドメイド製品の紹介・販売などを行い、得た資金をエチオピアでの遊牧・牧畜民コミュニティ支援などのプロジェクトに使っています。ちなみに遊牧・牧畜民は、最も貧困率の高いグループに属する人々です。これらの支援プロジェクトは、ARPの現地パートナーNGOが主体となり取り組んでいます。ARPはそのサポートに徹しています。現地の人々が、自分たちの問題に能動的に取り組むことが重要だと思うからです。日本人が資金援助しあれこれ指示する、といった従来のやり方ではうまくいかない、これが現地での経験で私たちが学んだことです。アフリカの人たちから「支援ではなく仕事がほしい」という声をよく聴きます。そこで小さな投資で雇用を生むハンドメイド製品のプロジェクトにも力を入れています。エチオピアのパートナー生産者のひとつにHIV陽性者の女性グループがあります。このグループは当初「資金なし、技術力なし、体力なし」という状態でしたが、コーヒー発祥の地エチオピアのコーヒー豆をつかった土産物の商品開発を支援したことで、生産・販売をスタートさせ、将来は観光客向けに店を開くという夢を持つまでになりました。所得の向上は体力を向上させ、夢を持つことは彼女たちの生きがいになっています。 このプロジェクトを発足させたもうひとつのきっかけは「どこに売ったらよいかわからない」という現地生産者「どこに注文したらよいかわからない」という日本の販売者の声でした。互いのあいだで情報不足が起こっていました。特に中小企業、生産規模の小さな生産者の情報は、日本ではほとんど入手できない状態になっていました。そこで、私たちは多くの生産者の中から、設けた基準を満たす10のパートナー生産者を選び、商品開発支援と日本への情報提供をはじめました。このプロジェクトをきっかけに日本への輸出がはじまった生産者、国内での売り上げが伸びた生産者など多くの成果があがっています。 筆者:日本でのアフリカ・イメージをどう思いますか? 白鳥さん:私が初めてアフリカに行ったのは70年代、青年海外協力隊員のときでした。国際協力でアフリカへ渡った若い女性をメディアは注目していて、たくさんの取材を受けました。でもアフリカで体験した、現地の人たちの「ごく当たり前の普通の暮らし」「アフリカの持つ可能性」といったことを伝えてもメディアが強調するのは、貧しく、危険で、苦労の多い国(でがんばる日本女性)といったステレオタイプな報道に偏っていました。この傾向は、今でも変わらないのではないでしょうか。世界的にみてもアフリカのニュースは、4Dばかりと言われています。4Dというのは、死(death)病気(disease)災害(disaster)絶望(despair)のことです。アフリカの可能性は、最近ようやく取り上げられてきましたが、4Dとのバランスはよくありません。だからこそ私たちはアフリカの「今」を伝える必要があると感じています。 筆者:東京外国語大学にはNGOの道に進みたいと考えている学生が多くいるのですが、何かアドバイスはありますか? 白鳥さん:NGOといっても、海外と日本とでは市民の意識がだいぶ異なります。例えば私が長く暮らした英国ですと、NGOは世界的な問題に対して「政府や国際機関とは違う民間″の立場から、利益を目的とせずこれらの問題に取り組む」団体であるということが広く認知されています。と同時に、NGOやボランティアに積極的にかかわる人たちは市民からもリスペクトされます。こうしたことがNGOの活動資金を潤沢なものにし、優秀な人材を集める要素になっています。一方で、日本で生まれたNGO活動は、資金面でも人材面でも多くの問題を抱えています。NGOがプロフェッショナルな活動に徹することで、市民の理解を得ることが大事だと思います。課題は多いですが、政府や国際機関ができないようなユニークなプロジェクトをやることもできます。その意味では自由度の高いNGOの仕事は、とてもやりがいがあり面白い仕事だと思います。 筆者:アフリカ理解プロジェクトさんは2003年から始まった団体とのことですが、これからどのように活動を広げていきたいとお考えですか? 白鳥さん:ARPは多岐にわたる活動はしていますが、活動ひとつひとつの質(成果)を大事に考えています。(例えば、ARPは年1冊のペースでアフリカや日本で本を出版しています。量を書くことはもちろん可能ですが、質やユニークさにこだわっています)。 スタッフ全員が仕事を持ちながらこの活動をしているという団体のキャパシティの問題もあります。活動を広げることだけを目的にしていると、質(成果)を見失い、本末転倒になってしまいます。質を確保しながら、活動を広げていきたいですね。 筆者:最後に記事を読んでいる学生に向けてメッセージをお願いします! 白鳥さん:今みなさんが生きる日本、そして時代は多くの道があり選択の自由があります。 どの道を行けば良いか迷ったときは、困難な方を選んでください。困難な道ほど、他の人は選ばないものです。そのことが結果的に、自身の価値(市場価値も含む)を高めることになるでしょう。 人間力、そして真の意味での「教養」を身に着けてください。「国際協力の仕事は人間力」そしてグローバル人材として通用するのは、「語学+教養を持った人」です。 インタビュー内容は以上です。白鳥くるみさん、改めてありがとうございました! アフリカや国際協力に興味がある人にとってとても参考になったのではないでしょうか?それぞれの専門性を磨いていく外大生には励みになるメッセージもありましたね。 李倫枝(り ゆんじ)記 FemmeCafe http://femmecafe.com/