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「日本から世界へ、親指ピアノの融合音楽!」

「リンバ」って、何だろう?

両手で持ち、親指で鍵盤を弾いて弾く「親指ピアノ」を、どこかのライブやお祭りで目にしたことはないだろうか。リンバは、その親指ピアノの一つで、東アフリカに位置するタンザニアのゴゴ民族等が中心に演奏している楽器です。そんなリンバを始め、アフリカ各地の多様な親指ピアノが奏でる音色、そしてビリビリとした「サワリ音」を追求するサカキマンゴーさんに、音楽・アフリカ、そして親指ピアノとの出会いについて聞きました。

異国のアイドル、地元で遭遇

中学校の音楽授業をきっかけにギターを始めた。男の子なら誰もが憧れる「カッコ良い弾き語り」を目指して、自分のギターを買ってもらい、作曲やアレンジをするようになった。ある日、鹿児島の地元のお祭りにギター出演していた時、偶然ガーナのパーカッション・バンドが来日参加していた。彼らの演奏に盛り込まれていた「サバッ、サバッ」という掛け声を聞き、「これはギターにも盛り込めるのでは?」と考えた。そして、お祭りも終わった夜の打ち上げの時だった。太鼓代わりにしたテーブルの即興演奏を披露したガーナ人は、マンゴーさんの目には異国のアイドルのように映っていた。

プレゼントとしてもらった、初めての親指ピアノ

「アフリカに行ってみたい」という思いが次第に募り、そのためにもアフリカ研究をと、大阪外国語大学に入学し、スワヒリ語を専攻。別段「アフリカの音楽を知ろう!」という思いが強かった訳ではないが、96年に大学を休学し、ギターを片手にエジプト・カイロから始まり、ケニア、タンザニア、南アフリカとアフリカ大陸を初めて回る旅をした。ギター演奏に興味を示してケニア・ナイロビの子供たちが近づいてきたり、モザンビークの教会で牧師さんのラップ調の説教に合わせて踊りながらトランス状態になっていく信者に圧倒されたり、ジンバブエでは空き缶で作ったドラム・セットとアコースティック・ギターの演奏を聴いたりと、アフリカの様々な音楽や文化を知らず知らずのうちに体験していった。その道中、ナイロビで誕生日プレゼントとして偶然もらったのは、お土産品のリンバだった。(「カリンバ」と呼ばれていたその楽器は、ケニア産のものではなく、タンザニアから輸入されたお土産物用のリンバであることは、後々気づいた。)

ニュージーランドでビリビリ

初めての一人旅の際、出会ったニュージーランドの友人を訪ねて、97年にはニュージーランドへと再び旅立った。ニュージーランドではジェンベ・「カリンバ」・ディジュリドゥは若者の三大アイテムとして各地で演奏されていて、マンゴーさんも持参したギターとリンバでフラット仲間のセッションに度々参加していた。アフリカで作られた親指ピアノは空き缶の破片などが鍵盤に巻きつけられ、演奏した時に「ビリビリ」というサワリの音を発するが、この頃からマンゴーさんはこの西洋的感覚でいうと「邪魔」な音の魅力に惹かれていった。そんな中、少し落ち込んでCDを借りに図書館に行った時、日本語の帯を見つけて偶然手に取ったCDが、著名なリンバ奏者のフクウェ・ザヴォセのアルバムだった。大音量で流したそのCDの音楽が心に直に響き、「タンザニアに行ってこの人にリンバを教わろう!」という決心を胸に日本に帰国することとなった。

フクウェ・ザヴォセとリンバが作り出す、ぐるんぐるんの空間

こうして、以前から気になっていたリンバが奏でるサワリの音の追求、そしてリンバの本当の弾き方を学びに、タンザニアへと出発した。フクウェ・ザヴォセの演奏と指導の素晴らしさもさることながら、彼の生まれ故郷の演奏もまた違った魅力を多く持っていた。そのため、マンゴーさんはフクウェエ・ザヴォセ氏の育った村も行き来するようになり、指使いと音が分かるようにとリンバ演奏の数字譜を取っていった。次第に構造が分かるようになり、ゴゴ民族のリンバのパターンを尊重しながら、自分でアレンジもできるようになった。ここで師事を受けている間、何よりも衝撃を受けたのが、リンバを使った憑依儀礼の儀式の際の演奏である。その演奏は、他に体験したことがない、ぐるんぐるんと世界が回るような空間を創り出す演奏であった。この体験が、後の自身のライブ・空間作りの鍵となっていくのである。

リアルな空間造りから世界へ発信。

タンザニアの憑依儀礼に参加した時に体験した空間を再現したい。でも、タンザニアで見たものをそのまま真似てもお客さんは同じような空間は味わえない。そんな考えから、まるで人間が楽器(リンバ)の箱の中に入った状態で聞いているようなぐるんぐるんの空間を創作し、あのタンザニアの雰囲気をリアルに体験してもらおうと、音の創作・アレンジをするようになった。それは、日本人のお客さんだけでなく、むしろ世界各国に発信していきたい音楽だとマンゴーさんは言う。現在、日本にルーツを持つワールド・ミュージックは、沖縄民謡、河内音頭、アイヌ音楽等、非常に限られているが、アフリカのミニマルな音作り(最小限の音で、体に直接訴えかけてくる手法)に載せて、日本・アジア独特のセンスを活かした新しい音楽を作り・世界へとアピールしたいと考えている。

音楽体験から、アフリカ理解へ

始めの頃のリンバ・ライブに来てくれたお客さんは、アフリカ音楽ファンに限定されていた。今では、アフリカ好きに限らず、音楽の良さを求めて幅広いお客さんが聞きに来てくれている。音楽家としては、声高ににアフリカへの理解を促すつもりはないが、逆に音楽を楽しんでくれている人達が自然にアフリカに興味を持つきっかけとなってきている新しい展開は素直に嬉しいと思う。一方、アフリカ音楽や楽器を追求する研究者の一員としては、もっと真剣にアフリカ音楽を研究する人が増えて欲しいと願っている。

 親指ピアノ、豆知識コーナー

フクウェ・ザヴォセの師事の元、タンザニア・ゴゴ族のリンバの弾き方を学んで以来、アフリカ各地の親指ピアノの弾き方・伝統を学ぶことに日々励んでいるマンゴーさん。ゴゴ族のリンバを含め、マンゴーさんが学び続けている親指ピアノについて簡単に教えてもらいました。

同じ親指ピアノでも、民族・国・地域によって姿・形・弾き方の異なる楽器が多く存在する。タンザニアのゴゴ民族が弾く大型のリンバは共鳴専用キー(直接弾かない)も含めると80本ものキーが取り付けられ、本体の穴に貼られた蜘蛛の卵膜が「ブーン」というサワリ音を発生させる。ゴゴ民族が好んで使う5音階に調律され、憑依儀礼やコンサートなどの際にも用いられる。

一方、同じタンザニアでも、音量の小さいニャキュサ民族のリンバは、ネックレス状のビーズが「ジュワージュワー」というサワリを出す。6、7本のキーは個人の好みで自由に調律され、もっぱら個人や家族の楽しみに演奏されている。その他、ヒョウタンやグラスファイバー製の共鳴器の中に固定して演奏されるジンバブエのショナ民族の「ムビラ」、ノコギリの刃をキーに転用した「ゴンゴマ」(ギニア)、2段・3段にもキーが配列される「デングー」(ボツワナ)、手製のピックアップを取り付けて、スピーカーから歪んだ音で出力されるものも出現した「リケンベ」(コンゴ民主共和国)などがある。

「カリンバ」はザンビアの一部の民族が演奏する親指ピアノの名だが、日本でよく浸透しているのは、南アフリカの楽器メーカーが工場生産し日本や欧米に輸出した親指ピアノの商品名が「Kalimba」であったことと、それを受けてアース・ウィンド&ファイヤーのモーリス・ホワイトが演奏したことに由来する。ケニアの首都・ナイロビでは、訪れる観光客が「カリンバ」と呼ぶのを聴いて、タンザニアから輸入したリンバを「カリンバ」の名で呼ぶ現地の商人やミュージシャンも現れはじめている。

(情報提供:サカキマンゴー、インタビュアー:岸上ありさ・アフリカ理解プロジェクト)

詳しくはサカキマンゴーのオフィシャルサイト「楽器の紹介」を参照下さい
http://mango.orio.jp/instrument/

サカキマンゴー・オフィシャルサイト:
http://sakakimango.com/

CD Album “Limba Train”
http://mango.orio.jp/cd/ にて無料試聴も可能です。


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