実験教室と先生たちのふところ事情 -ベナン-
【プロフィール】 赤石拓也(あかいしたくや)
理数科教師の青年海外協力隊員としてベナンに赴任中の中学教師。
ブログ「ベナンの風」を運営。
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実験教室の様子 |
近所の子供たち |
現在ベナン共和国の首都ポルトノボで青年海外協力隊の理数科教師として活動しています。配属先は教育省。赴任当初、配属先から与えられる仕事は何もなく、自分で問題点を見つけて出来ることを探していかないといけない状態でした。その中で言葉の拙い外国人である私が選んだ活動が、視覚に訴えることができる「実験活動の普及」です。
ベナンでは実験器具が十分にないということもあり、黒板のみを使った授業が一般的に行われているのですが、やはり理科の授業で楽しいのは実験ですよね。そこで今は器具がなくてもできる身近な材料を使った簡単な実験を普及させるために、教員研修会を行ったり、実験教室を開催したりしています。
活動を通してうれしかったのは、教員研修会や実験教室などで、生徒たちはもちろんのこと、先生たちも子どものように目を輝かせて活動している姿を見たときです。先生たちも実験を通した教育を受けてきていないため、そのような経験をするのが初めてだったのでしょう。そのため実験教室では先生たちに体験してもらいながら、一緒に生徒に指導を行いたいと考え、ほかの授業のない時間帯に行ってきたのですが、残念ながら先生たちにはなかなか参加をしてもらうことができませんでした。話を聞いてみると所得の低いベナン(教員で約5千円〜3万円/月)では、授業のない時間帯には他の私立学校に教えに行ったり、家庭教師をしたりして少しでも生活費や養育費を稼ぐ先生が多いようです。金銭的に余裕のない現地の人にとって、これまで以上の仕事(?)とお金を天秤にかけたら当然の結果なのかもしれません。実験をやったからといって給料が上がるわけじゃないですもんね。
この国で「お金」というのは人々が生活していく上でとても大切なものなのだということを改めて感じています。給料の未払いが原因でストライキをする人々、お金が原因で学校に通えない子どもたち、そして仕事がないためにお金を稼ぐことができず道端にたむろする若者たち。日本では考えられないことですよね。そ
れでも職場で同僚と大きな声で話をする人々の姿、家でさらに小さな子どもの世話をする子どもたちの姿、道端で仲間たちと共に笑って1日を過ごす若者たちの姿をみていると、果たして人として心の通った豊かな生活を送ることができているのはどちらなのだろう?たまにそう考えてしまいます。「お金」はなくても「人と人との温かいつながり」がこの国の人たちの生活を支えているのかもしれません。そしてそれこそ今の日本が忘れてしまっていることなのかもしれませんね。 |
●○アフリカをテーマにした授業・プログラムを推進するためのアイデアやヒントを集めたページです。http://africa-rikai.net/teachers/ideas/index.html
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