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南アフリカで再びサーフィンと出会う

平林 薫
ANC(アフリカ民族会議)東京事務所スタッフとして、南アフリカにおける1994年の初の全人種による民主的選挙を体験。その後1997年よりジョハネスバーグに在住し、旅行業、テレビ番組のコーディネート、翻訳などに携わる。ストリートチルドレンをケアするNGOでのボランティア活動や、英語の本や移動図書館車を寄付している日本のNGO(アジア・アフリカと共に歩む会)の現地連絡員、またJICAの草の根協力支援プロジェクトにも携わる。現在、サーフィンを中心としたウムズンベの村おこしを計画中。連絡先: kaoru@worldonline.co.za



南アフリカのブログ

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南アフリカで再びサーフィンと出会う
サーフィンは「究極のスポーツ」です。身体でプレイする以上に、魂でプレイするのです。ある程度の年齢になって、私は"もうサーフィンは卒業"と決めたつもりだったのですが、再びサーフィン熱にかかってしまいました。今度はアフリカで。

1994年、初めて南アフリカを訪問した際、東海岸の港町ダーバンからバスに乗って南へ向かいました。途中、緑の小高い丘とその奥に広がる青いインド洋の美しさに目を奪われました。"こんな所に住みたいな"などとため息をついたものです。その後1997年からジョハネスバーグに滞在することになったものの、海に行く機会はほとんどありませんでした。

今年6月、南アフリカ航空の機内誌でズールー人の若者達のサーフクラブの記事を目にしました。何かピンと来るものがあり、よく読んでみると、ダーバンの南100キロほどのウムズンベという小さな村の話でした。何人かの名前をメモし、早速そこを訪問しました。連絡先も何もなかったので、とりあえずビーチに向かい、ちょうどサーフィンをしていた若者に、"シリルという人に会いたいのだけど、知ってる?"と尋ねたところ、"僕の双子のブラザーだよ"といわれてビックリ。翌日ビーチで会えるようメッセージを託しました。

ズールーの若者たち
シリル・サンディーレ・ムカディ君は26歳。10年前にサーフィンを始め、現在ではジャッジの資格も持っています。ズールー人たちは代々、インド洋沿岸から内陸にかけての、緑の小高い丘が広がる美しい地域に住んでいます。ところが彼らの伝統では、"海に入ったら戻ってこられない"と信じられ、海で泳ぐことはタブーとされていました。しかし彼は弟のシヤンダと共に、小さい頃からサッカーよりも海に惹かれていました。ただ、当時のビーチは白人専用であり、彼らが入っていくことはできません。ようやくアパルトヘイトも撤廃された頃、彼らはビーチに向かい、白人サーファー達に頼んで中古のボードを譲ってもらいました。今では一流のスイマーであるサンディーレも、最初の頃は泳げず、怖かったといいます。また、伝統を重んじる父親に、海に入るなと殴られたこともあったそうです。

ティーンエイジャーにとって全くといっていいほど娯楽のないこのような小さな村では、暇を持て余して悪事に走る若者も多いといわれています。スポーツといえばもちろんサッカーが人気ですが、一人ではできませんし、それなりの場所も必要です。サーフィンは一人で黙々と練習でき、体力と同時に精神力も養うことができます。それに何と言っても、ここには常に一年中波の立つ、美しい海があるのです。地元の高校の校長先生もサーフィンを奨励しており、何かとクラブの力になってくれています。

サンディーレはすっかりサーフィンに夢中になり、地元の大会でもいい成績を修め、数年前には国際プロサーフィンの公認ジャッジの資格もとりました。現在は数々のコンテストにジャッジとして参加したり、地元の子供達にサーフィンを教えたりしています。また、サーフィンのルールブックを英語からズールー語に翻訳する作業にも取りかかりました。子供達が技術だけでなく、ルールもしっかりと理解して、世界に通用するサーファーになって欲しいと願っているからです。

サーフィンで村おこし
他のスポーツに比べ、ボード一本さえあればできるサーフィンはお金のかからないスポーツといえます。それでも現状では、ズールーの若者達が新しいボードやサーフブランドのTシャツを購入することはとても無理な話です。サーフクラブで使われているのは、白人サーファー達が寄付してくれる古いボードやお古のTシャツです。10歳のまだ身体の小さな子が大人向けの、それも古いボードに乗って練習しなければなりません。クラブの会長で、サンディーレと共に若者達への指導を熱心に行なっているブルース・ルドリング氏は、"もう少し身体に合った板に乗せてあげることができたら、もっともっと上達するのだけど。何とか資金集めをしなければ"と話していました。以前、サンディーレが大手サーフブランドの担当者に、黒人サーファーにもスポンサーシップが欲しいと頼んだところ、"黒人層は我々のシャツやパンツを購入することができないのだから、宣伝する必要も意味もない"と断られたそうです。

そこで私達は、"それなら自分達でユニークなオリジナルブランドを作っちゃおうよ"と考えました。まだまだ計画段階ですが、"ウムズンベにサーフィン産業を立ち上げる"これが目下の私たちの目標です。村のズールーの若者達がサーフィンを通して、楽しみながら心も身体も健全に成長していくことを応援し、その中から世界チャンピオンが生まれたら、などと夢は大きく膨らみます。私自身は"民宿のおばちゃん"にでもなれれば、と思っています。

パラダイス
私はこれまで、"パラダイス"と呼べるところは世界中でハワイだけだと信じていました。でもウムズンベは"パラダイスの中のパラダイス"。コンスタントに波の立つ青い海、美しい砂浜、暖かい気候にトロピカルフルーツ、そして優しい人々と明るい子供達。イルカもサーフィンしているし、くじらだってやって来る、そんな場所です。

機会がありましたら、ぜひご自分の眼でパラダイスを確認しにいらしてください。



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