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鳥取県に住む、エチオピア人のゲネットさんが、エチオピア文化を紹介するイベントを発案。
この企画に協力したアフリカ理解プロジェクトのサポーターである山本さんが、その模様を報告してくれました。
日本×エチオピア文化交流フェスタin YURIHAMA
実施場所:鳥取県湯梨浜町中央公民館
開催日:2010年7月10日(土)10:30 〜17:00
主催:日本×エチオピア文化交流フェスタ実行委員会
実施概要:
第一部:エチオピア料理体験
第二部:エチオピア文化体験
参加者
鳥取県内のALT(外国語指導助手):15名程度
鳥取県在住のエチオピア人:9名
教員,元警察官,元自衛官,地元の主婦,地元の親子連れ他 約50名
●第一部:エチオピア料理体験
GENETさんの発案で、公民館の調理室を借り、参加型の料理教室を開きました。材料は前日に持ち込み、当日は、材料を切るところから始めましたが、地元の主婦の皆さんの手際良いバックアップのお陰で、瞬く間に料理が完成。できあがった料理を2Fの会議室に運び、全員で試食。アメリカからデリバリされたというインジェラ(エチオピアの主食)まで並び、品数の多さは目を見張るほど。来場者の殆どが、エチオピア料理を初体験しました。
●第二部:エチオピア文化体験
このパートは、GENETさんに相談され山本が企画しました。東京からゲストとして一緒に出向いた原哲子さん(モカ・エチオピア・ダンスグループメンバー/元青年海外協力隊エチオピア隊員)と二人で、様々な側面から豊かなエチオピアの文化を紹介。今回の後援/協力団体の力も借り、充実したコンテンツを準備することができました。また、参加型の運営によりレクチャラーの人数の少なさをカバーし、効果的な演出ができました。
1)エチオピアの七不思議(PowerPointによるミニ・レクチャー)
ありきたりの国情報や観光紹介ではつまらないので、「七不思議」というタイトルで、エチオピアの特徴的な7つの要素を紹介しました。(人類発祥の地、コーヒー発祥の地、シバの女王とソロモン王にまつわる伝説、エチオピアのカレンダー、エチオピアの文字、エチオピアランナーの強さの秘密、多民族国家が生んだモザイク文化)
資料提供:日本エチオピア協会&モカ・エチオピア・ダンスグループ
2) エチオピアンダンスワークショップ
東京から出向いた二人だけの演舞では淋しいので、衣装を大量に持ち込み、希望者に着用してもらいました。着替えの間には、エチオピア民族舞踊のビデオを流し、他の来場者が退屈しないよう工夫します。まずは、試着してファッションショー。これだけでも十分に盛り上がります。続く演舞では、衣装を着たモデルたちにも見よう見まねで踊っていただきました。衣装の効果か、皆、堂々と踊ってくれ、華やかな舞台が演出できました。ダンスワークショップは来場者全員が参加です。このような時に外国人部隊がいると盛り上げてくれるので助かります。皆さん笑顔で踊ってくださいました。
インストラクター:モカ・エチオピア・ダンスグループ
3) コーヒーセレモニー
エチオピア大使館に準備してもらったセレモニーのセットを使い、GENETさんの友人MERSHさん(エチオピア人)がコーヒーマスターに。日本語の説明は同行の原さんが担当しました。会場には、日本生まれの日本育ちという生粋のエチオピア人兄弟ヨハネスくん(小学1年生),ミカエルくん(3歳)が、お父さんに連れられ参加してくれたのですが、初めて見るコーヒーセレモニーに興味津々。かぶりつきでコーヒーが入る様子を眺める様子が何ともかわいらしかったです。コーヒーが入る迄の時間は、エチオピアに行かれたことがあるという地元のご婦人方の体験談を伺ったり、コーヒーをいただきながらの質問コーナーは、前述の兄弟のお父さん、日本に暮らして10年を超すという鳥取大学の研究者ダニアチョウ・アキログさんが進んで引き受けてくださいました。流暢な日本語のわかりやすく解説、和やかなコーヒーブレイクとなりました。
器材提供:在日本エチオピア大使館
4) チオピア・コーヒー伝説(スライドショー)
こどもたちに最前列に座ってもらい、スクリーンに挿絵を映し出しながらエチオピアに伝わるコーヒー発見の物語をお話ししました。ヨハネスくんや、ミカエルくんにとっては、自分のアイデンティティを知るきっかけになったかもしれません。お話しが終わったあと「コーヒーを見つけたのは誰だろう?」と話しかけると「カルディかなぁ」と目をキラキラさせながら答えてくれました。
コンテンツ提供:アフリカ理解プロジェクト
≪今後に向けて≫
今回のイベントは、日本在住のエチオピア人が自ら企画し、ゲストとして招かれる形で話しが進んでいました。しかし、外国人が言葉の不自由な日本で公的な手続きを踏みながら単独で企画を推進するのは難しい。率直な感想です。準備が進んでゆく段階で、私自身もそれに気付き、実現のためにゲストではなく、企画・運営についても手伝いたいと申し入れました。また、地元の国際交流協会の協力者とも直接連絡を取り合うようにし、設備や機材の手配に抜け漏れがないようケアしました。今回の例を見てもわかる通り、日本の社会システムは、外国人にとって易しいものではありません。自国について知ってもらう機会を自ら作るには、事務手続きが煩雑でハードルが高すぎます。アフリカ理解プロジェクトのスタッフ、サポーターには豊富な人材がいて、こうやって自国の文化を日本に紹介したいと思う外国人とのコラボレーションが可能な逸材が揃っていると思います。身近にいるアフリカ出身者で自国の文化を紹介したいという方があれば彼らをサポートしながら、アフリカへの理解を深めるワークショップを企画してみてはどうでしょうか。日本人が企画し、外国人をゲストに招く文化紹介の場はよくありますが、外国人が自ら企画する自国文化紹介の場というのはなかなかありません。彼らの言葉で語ってもらう、アイディアを出してもらうことは、来場者に対する大きな価値に繋がると思います。
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