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タンザニア「土地問題から考える:地図を作る
雨宮洋美さんのプロフィール

95-97年JICA国際協力総合研修所
97−2000年 在タンザニア日本国大使館専門
調査員、帰国後2000-01年UNOPS(国連プロジェクトサービス機関)勤務。
現在、 名古屋大学 国際開発研究科 博士後期課程在籍中
(2003年9月−04年3月 JICA準客員研究員)


ポジティブ思考のタンザニアの人たちのお話

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アフリカと土地問題―市場経済と共同体的営み−
 多くのアフリカ諸国で今、土地問題が注目を集めています。なぜでしょうか。
 日本、欧米諸国を含め先進国諸国における土地は、投資目的に売買される商品
の一つです。ところが、農業を主産業とするアフリカ諸国の村人にとって土地
は、農業、生計の場であり生活の営みの場そのものなのです。土地はまさに彼ら
が持っている唯一の財産ともいえるものであり、彼らはそれをお金で売り買いで
きるモノ―店に並ぶペンやコーラ―と同じものとは捉えていません。そして、今は
自分が耕す畑とし、家族で暮らすための家を建てた土地も、ひとたび使わなくな
れば村のみんなのものへと返る共同体を基盤とした営みが村ではとられていま
す。「土地は共同体のもの」、という概念と「土地は商品」という市場経済の考
えの軋轢が土地問題の根幹であるといえるでしょう。

村人の日常―アフリカの村人にとっての土地―

 東アフリカのタンザニア、南部のルブマ州ムシンド村の村人の生活を見てみま しょう。この村には電気、水道、電話はありません。緊急の電話はもよりの村まで車で1時間かけていくといいます。朝5時頃には起き、砂糖入りのチャイ(紅茶)を飲み30分〜一時間ほど歩くところにある畑を耕します。昼12時〜1時ころには畑を離れ、家で昼食を食べます。午後、女性は家の仕事(洗濯、掃除、食事の支度)などをし、煮炊きに使う木を得るために村の森林に行くこともあります。男性は、午後4時頃から村のバーで竹を醗酵させたお酒(バンブービア)を飲みくつろぐことも。夕方6−7時には家族で夕飯をいただきます。生計の場、生活の場ともに村内であり、村の中で完結された一日です。
また、都市で賃金労働の職を失った若者も村に帰りさえすればなんとかなる、というように社会保障、福祉の制度の完備されていないタンザニアでは、土地がそれに代わる働きをしているともいえます。 

地図をつくる
 そんな、村人のところに政府の調査団がやってきました。資本主義経済路線を宣言し、近代国家の仲間入りを目指すタンザニアは、いずれはどの土地が誰のものであるかを記した証書を各村人に発行したいと考えています。現在は、村人の中では、どこが誰の土地か明確に記憶・認識しあってはいるのですが、外部の人に対してはまったくわからない状態だからです。そんな村で最初にするべきことは何だったと思いますか。それは村の地図を作ることでした。たとえば日本では土地を登記するという制度がありますが、それは当然に地図があり、どこからどこまでが誰の土地かということを示すことが可能だからこそです。ムシンド村では地図がないので、まずは模造紙一枚を村全体にみたて、村人の代表が集まり10日間かけて鉛筆書きの地図を作ることになりました。紙の中央を村の中央にみたて、東西南北を示すのですが、地図をみたことのない村人が参加して地図を作るのは大変な騒ぎです。
(トップの写真)

私たちが考えること
 2004年の現在も、世界中のすべての国の村に地図があるわけではありません。
すべての国が村の末端まで市場経済の理論で動いているわけでもありません。好むと好まざるとにかかわらず世界システムの波にとりこまれつつあるわけですが、急激な移行は村で完結した生活を営む村人にとっていい結果をもたらさないでしょう。緩やかな近代化への道こそ必要なこととはいえないでしょうか。


「在外大使館専門調査員」という仕事について一口メモ
在外の日本国大使館で勤務する外務省から派遣される調査員のこと。通常は2〜3年間の勤務が多く、経済協力、政務、文化などの特定分野を担当します。
具体的には、私の場合経済協力班に所属し、草の根無償資金協力という現地のNGO等に対する支援を3年間担当しました。その他、経済協力(ODA)にかかわること 一般(ドナー会議出席、広報など)を担当、補助していました。


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