Bahati mbaya バハティ・ンバヤ（運が悪い/しょうがない)
ある日主人に聞いてみた。「スワヒリ語で"しょうがない"って、どう言えばいいの？」それは、"Bahati mbaya"だな。"bahati"
が"運"で"mbaya"が"悪い"。運が悪いということでしょうがないという意味もある」。これは、いいことを聞いたと、私は喜んだ。タンザニアで生活していると、「しょうがない」と言いたくなる場面が、おうおうにしてある。店の開店時間に合わせて出かけると、まだ開いていない。店員も来ていない。「bahati
mbaya」。店で冷たいコカコーラを注文したのに、冷えていない。停電かしら？「bahati mbaya」といった具合。
ある日、我が家に来てくれる庭師さんに、花用の素焼きの鉢を注文した。彼の友人が素焼き鉢の職人で、そこから安く買えると聞いて、お願いしてみた。1週間後に庭師さんが自転車に乗せてきた鉢は、ダンボールやワラで包まれていたにもかかわらず、4個中1個がこわれていた。「ママ、bahati
mbaya」・・・・と彼が言った時、「ちょ、ちょっと待ってよ」と、確かにbahati mbayaではあるが、それは私から言うセリフではないかい、と私は心の中でぼやいた。bahati
mbayaには、責任回避のような意味合いもあるので、時々聞いて「ムッ」とすることがあるのだ。
今年の6月友人のタンザニア女性に待望の女の子の赤ちゃんが生まれた。ご主人に赤ちゃんの名前は？と聞くと、「実は上のお兄ちゃんが、この名前が言いというのでつけたんだ。名前はbahati」
「え−！bahati mbaya？（運が悪い？）」と私は返した。
「ママ・・・・（苦笑しながら）bahati nzuri（運が良い）の方だ」と、彼は答えた。
「はあ・・・（なるほど）そういう使い方もあったのか」と。確かに日本語でも「運が悪い」「運が良い」という言い方があるが、スワヒリ語にもあるとは気づかなかった。いかんせん「bahati
mbaya」の使用頻度に比べて、「bahati nzuri」の方は今まで会話の中で聞いたことも、私自身使ったこともなかった。私と「bahati
nzuri」とのはじめての出会いである。今までこの言葉に出会わなかったのは、（どこの国に住んでいてもだが）、生きていく中で「運が悪い」ことは数多けれど、「運が良い」という幸運は、めったに舞い込まないからだろう。
幸運が、わずかばかりのこの世界で、「Bahatiちゃん」と名づけられた赤ちゃんに多くの幸が舞い降りますようにと、祈らずにはいられない。
スワヒリ語の名前の秘密
タンザニアは1２６の部族からなる国であるが、聞いただけでその人の出身地がわかる、という苗字が数多く存在する。たとえば、MASAWE、LIMOならキリマンジャロ出身、MKUDE、BANZIならモロゴロ、といった具合である。ソンゲアでは、ＭＡＰＵＮＤＡ（ろば）、ＴＥＭＢＯ（ぞう）と、動物の名前が苗字になっている人が多い。タンザニアの内陸部に住むソンゲア出身者の苗字を、そこから７００キロ近く離れた海岸の街タンガでも数多く聞くことができる。今から半世紀ほど前、タンガに大規模な農園ができ、ソンゲア出身者が多数働きに出て、そこに住み着いたからである。苗字を聞いてその人の出身を知り、さらに、ルーツまで推測することができる・・・・・！ってちょっとわくわくしませんか！
タンザニア モロゴロ(Central region)
モロゴロは、ダルエスサラームから西に２００キロ離れた所に位置しており、ドドマ・イリンガへ行く道の通過点でもある。ウルグル山脈(一番高いところで２,１３８ｍ)がそびえており、ルグル人が人口の半数を占めている。モロゴロに来てまず驚くのは、自転車の数が非常に多いこと。街の中心に店が集中しており、買い物も便利である。中心街は、人と自転車と車の波で、いつもごったがえしている、とても活気のある街である。
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