アフリカ理解プロジェクト 総合学習・国際理解・国際協力・開発教育 | ||
エチオピア在住者を対象に、国際協力やエチオピア理解を深めるためのスタディツアーを行いました。 今回のスタディツアーのポイントは:
神の橋 |
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切り開かれつつある山の森が見えました 朝もやに包まれるボンガ 森の中に新しい林道が作られていました 森の中には野生のコーヒーが見渡す限り ボンガ・コーヒー博物館(現在建設中) ボンガ野外博物館 インジェラに肉のシチューと野菜 大きなジャバナ(素焼きポット)でコーヒーを ウシウシ・ティー・エステート ボンガのはちみつは有名 自然の中に忽然と現れる滝 ジンマの王宮 ジンマの王宮 農家の直売所 休憩に寄ったレストラン |
伏木真波 (青年海外協力隊) |
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2013.12.31. アジスアベバからボンガへ アジスを早朝に出発し、車に揺られて6時間、休憩地点ジンマに到着。途中の山々は、アジス周辺に比べれば、やや緑が多いものの、やはり木々が伐採されハゲ山となっているところが多かった。以前は国土の80%が原生林であった(と言われている)が、今では4%まで減少しているそうだ。それでもジンマに近づくにつれ、緑が多くなっていった。道沿いには、伝統的な家屋(マッシュルームハウス)が建っており、地域性・民族性を感じさせる景観だった。同じ敷地内に、このマッシュルームハウス・木と土壁造りの家・レンガ造りの家が同居しており、伝統的な家屋から現代的な家屋へとシフトしていく様子が窺がえた。 ジンマからボンガへは、以前は未舗装道路だったが、現在では所々工事箇所が残るぐらいで、幅の広い舗装道が続いており、2時間ほどで、ボンガに到着(注:2014年4月現在舗装道路はほぼ完成している)。この間は、更に緑が豊かになり、道路脇にはバナナ畑が見られたり、野生のサルがいたりした。夕方から雨が降り出し、その影響からか停電。外は、雨が降っているのに、ホテルは断水。というわけで、夕食後は早々に就寝。ボンガにいる協力隊員によると、11月に赴任してから初めての雨だったとか・・・一体、誰が雨男・雨女だったのか??
2014.01.01 ボンガ 元旦なのに、新年の挨拶をするのも忘れたまま、トレッキングスタート。まずは、岩で自然につくられた橋「神の橋」を目指した。橋といっても、上にいるとわからないが、下へ降りていくと、洞窟のようになっていて納得。そこから更に、今回のスタディツアー最大の目的地『コーヒーの原木(とその森)』を目指して歩く。現在では、コーヒーの原木があるすぐ近くまで通じる道が出来ており、車で近くまで行くことも可能になっていたが、3年前まではこの道もなかったのだとか。 (前のルートはこちらの動画で http://www.youtube.com/user/africarikai この道のおかげで、話に聞いていたよりはるかに楽に『原木の森』へ到着。残念ながら、シーズンが終わっていたので、コーヒーの赤い実は、ごくわずかしか見られなかったが、コーヒーの木々にコケが生えている姿は、長い年月を感じさせ、何となく神秘的な雰囲気を醸し出していた。樹齢200年と言われる原木は、他の木々に比べ幹が太いものの、言われなければ見落としてしまいそうだった。スタディツアーへの参加を決めた時には、それほどまでに『コーヒーの原木の森』の貴重性を認識していなかったが、この森に関する話を聞き、実際に眼にすることで、この木々を守っていく必要性と、それを周辺住民に理解してもらうことの重要性を強く感じた。 午後は、建設途中のコーヒー博物館と野外博物館へ。地域住民も資金を出し合い、街をあげて作り上げようとしているモチベーションの高さに感激した。コーヒー博物館は、中の展示物の収集も始まっているらしく、日本人から見れば何ともスローな進行度であっても、エチオピアでは非常に高く評価できると思う。野外博物館までは、そこそこの山道を登らなければならないが、ボンガ全体を見渡せるビューポイントでもあり、そこからの眺めは素晴らしかった。 夕方から再び雨が降り出し、停電し(停電・断水は道路工事の影響とのこと)、蝋燭の火のもとでの夕食。ボンガのインジェラは、酸味が少なく、ふかふかしていて、美味しかった。断水が続き、蛇口からは水が出ないのに、大雨により、天井から水が出ていた(雨漏り)・・・。 2014.01.02. ボンガからジンマへ まずは、ウシウシ紅茶農園へ。ここは、1,300haの広大な敷地に、青々と茶の葉が茂っており、私のイメージの中のアフリカとは全く異なる光景だった。3,500人の従業員が働いており、敷地内には、家や学校も建てられたいた。摘み取られた葉は、葉の状態で若干乾燥させた後、すりつぶされ、発酵、乾燥、等級分けまでがこの敷地内の工場で行われた後、アジスの工場へと出荷され、そこでパッケージされる。次に訪れたのは、グリーンビーンズ社のコーヒー農園。こちらも、1,000haと広大な敷地に、コーヒーの木が植えられている。無農薬で栽培されている種類は、5種類。ここでは、”サンドライ”と”ウォッシュド”の2通りの方法で製品化されていた。コーヒーの等級は、赤い実の状態で決められるらしいが、赤い実が剥がれ中の薄皮の状態で乾燥させている実を見ても、色がはっきりと異なっていた。 午後は、まず5年前からオーガニック・ハニーを生産しているムルースさんのところへ。抽出方法にもこだわっていて、不純物が一切含まれないのが特徴。採れる量はまだ少なく、ビジネスとしてはまだまだこれからという話であったが、将来的には、コーヒーハチミツを生産するのが彼の夢なのだとか。その後、時間が押しており、急ぎ足で滝へ。往復1時間コースの予定ところを、40分で往復。想像していたより、はるかに大きな滝で、虹までかかっていて、かなりハイペースで歩かなければならなかったものの、行くだけの価値はあった。 夕刻にボンガを出発、ジンマへ。ジンマ・セントラル・ホテルのクオリティーの高さにチェック・イン早々、感動。電気も、水もある、と。どれだけ、自分の敷居が下がっていたのか。。。
2014.01.03. ジンマからアジスアベバへ ジンマ博物館を見学しようとするも、改装中で見学できず。そのため、直接ジンマ王の宮殿見学へ。どこの国でも、国王の城や宮殿は山頂近くにある例にたがわず、ここもジンマを見下ろす山の上に建てられていた。テラスがあり、トタン屋根という、インド様式の作りだった。今にも崩れそうな床や階段・柱であったが、それが歴史を感じさせているともいえるのか、どうか・・・。内部は、鍵を持っているチケット売り場のお姉さん?おばさん?が来なかったため、見られなかったものの、入場料は変わらず。あの入場料は、一体誰のポケットに入ったのか?? 木造りのコーヒーセットのお店を見た後、ジンマを離れ、アジスへ。その途中、道端で、リンゴ・モンキーバナナ・カスタードアップルを売っているところを発見。買い物をした後、突撃農家訪問というわけで、その農家を見せてもらった。通りからは想像が出来ないほど、奥に広い敷地があり、その中でマンゴー・アボカド・サトウキビ・チャット等も栽培していた。水を近くの川から引いてきているために、これだけの種類の作物を栽培出来ている。リンゴは近くの農園で栽培されているもので、この農家で作っているものではなかった。 アジスまでの道中、昼食をとるために立ち寄ったナガシュ・ロッジは、自然の中でのんびり休暇を楽しめそうな雰囲気、かつ、リーズナブルなプライスで、出来ることなら泊まってみたいと思った。 スタディツアーを通して 今回のスタディツアーに参加し、コーヒーを中心とした観光業で、エチオピアを十分に世界へアピールでき、その要素がボンガにはあることを実感した。まず、『原木の森』があるというだけで、世界の、特にコーヒー好きの注目を集められる。『原木の森』へのトレッキングも、大きな道路が造られたことで、各旅行者のニーズにあったスケジュールを組むことが可能になったといえるだろう。コーヒーの原木の森だけでなく、滝や町全体を見下ろすビューポイントがあり、文化的lな面としては、コーヒー博物館・野外博物館・紅茶/コーヒー栽培農園もあり、充分な数の観光スポットがある。ただ、難点は、各ポイントが散在していることで、これらをまわるモデルコースを提案し、車・ガイドの手配をする窓口は必要だと思う。また、最低限の(使える)設備があるホテルをつくることも世界的な視野で観光業を考えていくときには、重要なポイントとなると思った。あとは、ボンガへのアクセスだが、アジスアベバ・ジンマ間は空路での移動が可能であり、そこからバスで3-4時間であれば、旅行者にとっても、さほど問題となる距離ではないのではないか。私自身は、これぐらいの時間をかけても行ってみたいと思わせる魅力がボンガにはあると感じた。 ボンガへ入った3人の青年海外協力隊員にとっては、まだまだ活動もこれからというところで、方向性も模索中といった感じだったが、色々な可能性を秘めた土地で、やる気のあるエチオピア人主導のもと、住民も参加して、開発を進めているところでの活動は、非常にやりがいがあるだろうと思うので、ぜひとも頑張って欲しい。 最後に、このスタディツアーを企画してくださったくるみさん、ボンガでのスケジュールをアレンジしてくださった協力隊員の平山さん、ガイドのイデナカチョさん、ボンガで同行してくださった協力隊員の大塚さん・萩原さん、長時間運転してくださった運転手のハブタムさんに、お礼申し上げます。ありがとうございました。 |
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高野久美子 (CEHPメンバー) |
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アジスアベバからジンマ・ボンガへの道程について 想像以上に良い道路でした。また、道中、昼食やお茶休憩できそうな町もいくつかあったので(ウォリソなど)、外国人が旅行することに問題は感じませんでした。景色も、アジス近郊の町並みに始まり、大規模農地、地方都市と村々、山岳地帯、原生林、家畜、サル等々、様々な景色を楽しむことができました。また、帰り道で立ち寄った農家の直売所も面白かったです。アジスアベバの旅行会社で車を借りると、運転手、燃料代で1,500ブル/日以上(約4500円、2013年現在の参考価格)取られそうですが、その価値はあります。(ラリベラやバハルダールに飛行機で行くのと比べれば格段に安いと思います) ジンマ観光 ジンマはこじんまりとした地方都市で、街並みは古い建物がまだ多い。時間があれば町を散策したくなるのんびりとした雰囲気の漂う街です。しかし、現在は大規模な道路工事が進行中で、いたるところが掘り返されていました。やがてのんびりとした街並みも近代的なビルにとって代わるのかもしれません。できれば古い町並みは残して欲しいなと思います。ジンマの町から20分ほど山の中に入ると、ジンマ王国時代の元王宮がありました。ジンマの新しい街を見下ろすこの王宮には木材がふんだんに使われています。ベランダから庶民の生活やうっそうとした森におおわれた山々を眺めながら、王や妃たちは何を思ったのでしょうか。現在は少しずつ改修が進んでいますが、昔の雰囲気はきちんと残して欲しいですね。 原木の森 ボンガの町から、コーヒーの原木の生い茂る森へのアクセスが意外に良いことに驚きました。切り開かれたばかりの林道が生々しいかったですが、雨季を経れば草が生え違和感がなくなるのでしょうか。森の中には背の高いコーヒーの木の枝にぶら下がる苔が、神秘的な雰囲気を醸し出していました。こんな森の中で育ったコーヒーは、たくさん森の空気を吸い込んで美味しそうです。コーヒーの収穫シーズンはすでに過ぎていたが、今度訪れた際は、森の民がどのようにコーヒーの実を摘み乾燥させているのか見学したいですし、実際にコーヒーの実を摘んで見たいと思いました。 コーヒー博物館 ボンガの町には、現在コーヒー博物館が建設中です。地元の人々もお金を出しあったというこの博物館は、丸い三角屋根の伝統的な地元の家をモチーフにしています。中はらせん状になっていて、完成したら観光に目玉になること間違いないでしょう。 野外博物館 観光開発への地元の意欲は、ボンガの街外れの山の上に建設中の野外博物館からも見てとれます。伝統的な民家を中心に、カファ地方の生活や文化を展示するそうです。ボンガの町が一望でき、もう一つの観光ポイントなるでしょう。ここですばらしい景色を眺めながらコーヒーも楽しめるようにするそうですので、今後に期待です。トイレが無くて少し困りましたが、これから整備するということで安心。 ウシウシ紅茶農園 ボンガの町からさらに東に進むこと30分、こんなところに広大なお茶畑が、と驚く大農場、ウシウシ農園がありました。いくつもの丘にお茶畑が延々と続き、農園で働く老若男女がお茶摘みをしていました。お茶摘みの姿はアジアのそれとあまり変わりません。農園内の工場ではお茶の葉っぱから紅茶になるまでの工程を見学し、最後にお茶の試飲も楽しめましたた。試飲は出来るけどお茶は買えないところが商売っ気のないエチオピアらしいところ。売店を置けば観光客が喜ぶこと間違いなしなのに・・・。 グリーンビーンズコーヒー農園 ウシウシ・エステートからさらに東に進み、次は、森に囲まれたグリーンビーンズ社の大規模コーヒー農園を訪問。農園のマネージャーから直々に農場を案内してもらい、豊かな環境の中で行われるコーヒー生産の様子を垣間見ました。ここで生産されいるのは全て有機コーヒーで、ほとんどが米国へ輸出されているとのことです。加工場での精製、乾燥の様子や、少量だけ出荷しているジャコウネコのフンの中から採れる高級コーヒー豆の話は、とても興味深いものでした。 有機ハチミツ ボンガはハチミツのおいしいところとしても有名です。エチオピアのはちみつは基本的にすべてオーガニックですがが、ボンガ産は特に深い森のいろいろな花から蜜を蜂が集めてきます。森の中で、蜂も健康的な感じがしました。農家はどこも、伝統的な筒状の巣箱を裏の森の木にぶら下げたりしていますが、見学した養蜂場では生産性の高い四角い巣箱を使っていました。観光用に、伝統的な巣箱も置いて説明してくれるといいかもしれません。行くところそれぞれに、観光のネタになりそうなものばかりでした。養蜂場のさらに裏にあった滝も、まったくの自然の中にありトレッキングのコースとしては最高でしょう。こんなにきれいな滝を見ながら、森から採れたコーヒーにオーガニックのハチミツを入れて飲むなんて、なんて贅沢なことでしょう。 ホテル 観光地にするにはホテルの整備が欠かせません。その点、ボンガはまだ発展途上です。滞在中、電気と水に不自由しましたが、断水と停電の対策は必須です。現地のレストランでの食事は旅の醍醐味ですが、観光地にしたいということを考えると、メニューの品数が少なすぎたのが少し残念です。泊まったホテルは地元一と言われるところでしたが朝食は無し。仕方なく、ホテルの前にある道路わきのカフェでコーヒーと蜂蜜にパンで朝食。信じられないくらいに安く、大きなジャバナ(素焼きのコーヒーポット)で入れたコーヒーはおいしく、出勤前に朝食をとる地元の皆さんとの交流もできました。でも、観光客のことを考えると朝食くらいはホテルで食べれるようになって欲しいところです。 ボンガやジンマには、観光資源として魅力的なものがたくさんあることを発見したツアーとなりました。今はまだ観光地としては発展途上ですが、コーヒー発祥の地であり、いまなお野生のコーヒーの木が育つ広い森を抱えるボンガとジンマで、地域振興と自然保護をうまく融合させたエコツーリズムが花開くことを期待しています。 |
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