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letterエチオピアの大学で理学療法を教える

伊藤智典(理学療法士) 
出身は高知県。6年間の病院勤務の後、青年海外協力隊に参加。04から06年まで、
ゴンダールの大学の理学療法学部で指導していました。趣味は読書と音楽、海が好き。
でもエチオピアには海がなかったんですよね。



■不足しているエチオピアの理学療法士

まず、理学療法って何?から始めましょうか。理学療法というのは、運動・電気・光線・温熱などを使い、病気や怪我を治す治療法の事です。そして、その治療法を用いる人の事を、理学療法士といい、日本では主に病院などで勤務しています。
エチオピアには理学療法の養成校がなく、理学療法士の数は4年前までなんと10人足らず、7,000万人といわれる国民全体にはとても足りない状況でした。そこでまず、2人のオランダ人理学療法士が大学に来て理学療法学部を設立、その2 年後に私が赴任することになったのです。



遠い村から、3日歩いて病院へ来る人たちも

理学療法士として思った事が幾つかあります。まず、障害を持つ人達が逞しい!なんとまあ車椅子や杖を器用に使い、物を売り歩いたりしています。それと、患者さんの回復も早いです。日本なら1ヶ月かかるような怪我も、人によっては2週間で回復してしまいます。これは遺伝子的な関係もあるかも知れません。もしくは、無医村での出産、赤ちゃんのうちに亡くなってしまう事もたくさんありますから、生きている人は私達以上の秘めたるパワーを持っているのかも知れません。
大学には付属病院もあり、そこに患者さんは入院出来ます。しかし、入院するにはお金がかかります。そこで、入院出来ない人はどうするかというと、病院の敷地内、まさに軒下で寝泊りする訳です。医師の数も少ないので、診療を受ける為に2日待っている人なんかもいます。また、理学療法を受けに、はるばる遠い村から、時には3日かけて歩いてくる人もいました。

日本やり方はきっちりし過ぎ?
さて学校や授業についてですが、これも日本と違うなあと思った事がありました。1つは、学生が試験結果に文句をいう。学生は先生に対して対等、またはそれ以上に文句を言ってきます。「この採点はおかしい!」しかし、明らかに違う答えだったりしたこともありました。おいおい、これは読めない、そういう字を書いてくる生徒もいましたね。その他、雨が降ったら学生が授業に来ない、とかでしょうか。理由は「傘がないこと」らしいです。しかしこれは学生だけじゃなくって、現地の先生も来ない事があります。やっぱり理由は傘。どうして傘を持たないのか? 私がとある先生に聞いた所、その先生、「雨は止むから」。そ、それは盲点!もしかすると日本の方が「きっちりし過ぎ」で自然じゃないのかも知れない?



夢はいつか、卒業生に「トモノリの治療理論や技術は古いよ!」って言われること
私が日本に帰る2週間前、何人かの卒業生達に会いました。みんな2006年7月に卒業した、新人の理学療法士達です。彼らは何かをたくさん書き込んだノートを持っていました。それが何かと聞くと、「トモノリが言ってたでしょ、患者さんの為に、毎日勉強しているんですよ。」といいます。私は、「あああ」と、胸が熱くなり、涙をこらえました。卒業前後には色んな問題があり、私は最後まで悶々と悩んでいました。それは、部長代理という役職についてからのことです。患者さんに触れる事や、学生の授業などが出来ず、毎日ミーティングの繰り返し。本当に大切な仕事とは何なのか、悩んでいたのでした。しかし彼らをみて、「患者さんの為に一生懸命な理学療法士達が生まれた事」が分かりました。それが私の活動の原点であったはずなのに、どこかに取り残してきた、そんな気持ちでした。
これからも私は、彼らがもっと勉強しやすくなるよう、様々な角度から支援していこうと考えています。そしていつか世界理学療法士学会などで彼らと会い、「トモノリの治療理論・技術は古いよ!」って言われると、幸せですね。

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