エチオピアコンピュータ事情: 高橋 廣光
緊急の帝王切開を受けた妻の出産がきっかけになり、青年海外協力隊員として途上国に行くことを決めました。日本ならこのような緊急事態でも対応可能でしたが、途上国では恐らく難しい。私の仕事が(医療関係ではありませんが)何かの役に立てば、そう考えての応募です。05年にエチオピアに赴任、現在ナザレット(※現地名アダマ)にある、職業訓練学校で仕事を始めて3ヶ月がたちました。この学校のIT課で、生徒にコンピュータ指導するのが私の仕事です。
「壊れたら、その知識や技術は宝の持ち腐れ」だから始めは、掃除
コンピュータ教室はIT課と他学科の授業用として2部屋が用意され、コンピュータは両方合わせると40台(デスクトップパソコン)あります。このうち常に数台が利用停止状態になっています。
コンピュータ室の環境として一番問題なのは、教室自体が汚いことです。床には砂埃(この地方に起こる砂嵐の影響かもしれません)、ちり紙・ゴミ・飴の棒などが散乱し、机も埃をかぶり、結果としてキーボードやマウスに影響が出てきます。パソコンは精密機械なので・・ということは初めに学ぶべきではないのか?という疑問と同時に生徒からの「このパソコン調子が悪い」という身勝手な発言に当初は憤りを感じましたが、この生徒達はコンピュータを利用する環境を学んでいないのだと認識しました。この為、私が現在担当しているクラスの一番初めの授業は掃除でした。箒を掛け、モップで仕上げ、机とパソコンは雑巾で拭く。埃で教室は真っ白でしたが、掃除が終わると粉っぽい教室ではなくなりました。それからは、生徒にパソコンは埃まみれの部屋でやるものではないんだよ、ということをずっと言い続けます。
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どんなに授業に真剣に取り組みマスターしたとしても、コンピュータが壊れてしまったら、その知識や技術は宝の持ち腐れになってしまいます。張り紙を張り注意を促していますが、すぐに変わることは難しいです。生徒達と二週間に1度の掃除を続けています。綺麗な教室で授業を受けることは誰にだって気持ち良いことですから。
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「ディスプレーから火花」故障の原因はたくさん
コンピュータが壊れる原因のひとつに停電があります。コンピュータにUPS(無停電電源装置)やジェネレーターなどがあれば、問題は回避できますが、現状では予算上の理由か、それ以外の要因か確認不足ですが、UPSは設置されていません。この為、停電や電圧の上下によりコンピュータの電源装置が故障したり、時には、ディスプレイから火花が出たりすることもありました。停電になった場合、実習は電気が回復するまで中止になります。
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「何でも試してやれ」若い生徒に苦労
英語が母国語ではない生徒にとって、英語表示は難解な暗号のように感じるはずですが、若い生徒にとって、コンピュータはおっかなびっくりで操作する電子機器ではないようです。何でも試してやれ!という気持ちがあるんだろうと思います。コンピュータ起動する為に必要なファイルを削除したり、ユーザーアカウントにパスワードを設定してしまったり。こんなときは、初期から設定をしなおさなければなりません。OS・SOFTWAREの再インストールは日本でも多々行っていましたが、若干環境が異なり、例えばFD(フロッピーディスク)やCDの読み込みが出来ないなど、初期のところでつまずきます。
「知識はあるが、実践に乏しい生徒たち」悩みつつ授業
コンピュータ1台に、2人〜3人で共同利用しています。自宅にパソコンがある生徒はいないようですし、学ぶのは学校だけなのかと思っていましたが、街にはパソコンスクールがあり、1割位の生徒が月謝を払って習っているようです。秘書課の生徒37名にも週12時間、コンピュータとは何か?Microsoft
Word / Excel / Power Point / Accessといった授業を行っています。生徒達は2年生で、既に昨年タイピング(秘書課の必修授業)を習っていることから、打つのはとても速いです。現在はWordの授業を行っていますが、想像以上の実習内容です。マイナス点は、例えばパソコン本体やディスプレイの電源が抜けていたら当然パソコンは起動しませんが、その度に呼ばれることです。そろそろ気付いて欲しいものですが、電気系統のこととなると少々疎いようです。毎時間、数人から同じことで呼び出されます。OAタップやコンセントに問題があり、差し込んでもゆるい状態であることが原因です。
IT 課の生徒達は、やはり興味があって入ってきているので、積極的に最新技術を吸収したいという意欲がみられます。しかし、残念なことに、彼らの知識はネットワークやメンテナンスなど座学中心で実習が足りません。知識はあっても実践する機会がない、そういうことが背景にあるようです。これが費用の問題でそういう実践ができないのか、あるいは技術的な問題なのか、今後、確認し対応できればと思っています。
エチオピアの国民性なのか、ほぼ全ての生徒がパソコンで音楽を聴きたがります。それも大音量で。今のところ、インターネットよりもスピーカーやヘッドフォンの方が彼らに人気があります。私はと言うと、どこから手をつけるべきか・・と悩み、考えつつ毎日授業をしています。
高橋 廣光


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