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エチオピア教育事情「考えること」を大切に:
冨永栄治


宮崎県出身。現職教員参加制度を利用し、06年度から青年海外協力隊理数科教師として首都アジスアベバの高校に赴任。数学を教えている。

●エチオピア教育の現状
プラズマテレビ使用の授業風景 “最貧国”のイメージが強いエチオピアですが、中学・高校では意外なことに写真のようなプラズマテレビを用いての授業が主となります。生徒数の増加に反して教師数が不足していること、首都と地方間での格差を無くすこと、というのが主な理由だそうです。しかし、一方的な授業展開に生徒はついていくことがやっとであり、学習していく上で最も大切である“考える”という過程が欠如していることが切実な問題だと感じました。その結果、知識偏重で柔軟な発想ができず、生きていく上で本当に大切な力を身に付けることができないまま大人になっていく、ということになります。

●サイエンスセミナーの開催
サイエンスセミナーの様子私のできることとして、通常の授業で“考えさせる”時間を多く取ったり、教材・教具を用いて演示したりするなどの工夫を日々行うことは当然ながらも、他の理数科教師隊員と連携して、週末に“サイエンスセミナー”という課外授業を行ったりしています。理科教科は実験をしたり、数学は“考えさせる”課題を主に取り上げたりして、一方的な教え込みではなく『参加・体験型』のセミナーを目指して取り組んでいます。


●ヒロシマ・ナガサキを題材に
原爆セミナーそんな中、海外に住んでいて世界のニュースに触れる機会が多かったのですが、『核』に関するニュースが多いのに気付きました。昨年は北朝鮮の核実験問題もあり、関心が高かった同僚からは質問が相次ぎました。日本は唯一の被爆国だからです。そこで「エチオピアの人たちにも核の恐ろしさを正しく伝えたい」と思い、広島平和記念資料館等の協力の下、ヒロシマ・ナガサキを題材としたセミナーを行いました。日本人に対してこの内容を行うときは、戦争の背景にある歴史・政治・経済・宗教・民族の問題にあまり目を向けなくとも道徳的に「戦争の悲惨さ」「命の大切さ」を訴えるだけで通じることも多いです。しかし、それに対してエチオピアは、歴史も民族も全て違う人たち、それでいて最近もソマリアと戦争をしていた国です。どのように伝わるのか、というのが正直怖いところでした。感情にだけ訴えて「それは日本人だからそう感じるのでしょう?」となったら大失敗です。また、最近の世界情勢を見たときに『反米感情』だけをたきつけてもいけないと思います。そこの表現・またアプローチの手法が非常に繊細で難しかったですが、最後は理数科教師的に『科学の“功罪”』というアプローチを取り、客観的なデータを示したり、核技術の利点と欠点を対比することで明らかな『科学の過ち』ということを自分たちで気付いてほしいと思いました。同時にヒロシマ・ナガサキの被爆後の映像やポスターを見せることが『事実を伝える』ということでストレートに感情に訴えられたのだと感じます。特に思春期にこのような映像を見るのはショッキングだったと思いますが、感じた衝撃は決して忘れないでしょう。生徒にも原爆セミナーの意図は伝わったと思います。

●“考える”ことの大切さ
ポスターを見入る生徒達セミナーを通して、純粋に驚いたり、自然科学の不思議さ・難しさ・そして素晴らしさを感得してもらえたらと思っています。それと同時に、もう一歩踏み込んで自然科学の功罪の“負”の部分もあえて取り上げることにより、“論理”や“科学技術”は万能ではない事、最終的にどのようにそれを活用するかは我々人間次第であるという情操的な部分まで考えさせたいと思っています。常に“考える”という大切さ。現実社会は大変複雑ですし、実際この国は世界的に見て貧しいかもしれません。しかし、その複雑な社会を私達は生きていかなければならないのです。大人達がその部分も伝えることが責務であると思いますし、その上で希望を持って「自分たちでよりよい社会を創っていかなければ!」と思わせなければならないでしょう。きっと彼らはそういう事を考える事ができ、何か感じることがあると信じて日々活動しています。

●○アフリカをテーマにした授業・プログラムを推進するためのアイデアやヒントを集めたページです。http://africa-rikai.net/teachers/ideas/index.html
みんなさまからのティーチングアイデアをお待ちしています。info@africa-rikai.net


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