アフリカ理解プロジェクト 総合学習・国際理解・国際協力・開発教育 | ||
エチオピアでは、1997年から実施されている累次の教育セクター開発プログラム(Education Sector Development Programme: ESDP)により、初等教育の就学率(NER)は大幅な改善が見られています(1999年:34%→2007年:71%)。しかし、就学における都市部と農村部などの地域間、男女間のなどの格差は依然として大きく、日本の約3倍(110万平方q)ある国土と海抜1千m〜4千m超の標高差、多様な気候と80以上の民族、60以上もある使用言語などが影響しているとされています。同国では、2015年までに初等教育の普遍化を達成するため、「コミュニティと行政による協働」が政策として推進されていますが、既に全国の就学児童数は1400万人を超え、世界最貧国の1つに挙げられる同国にとって、教育分野への追加資源の投入は重い負担となっています。 エチオピアの教育システムは、小学校から大学まで以下の表のようになっていますが、入学時から年齢は様々です。1-10学年の小学校/中学校は無償で行くことができ、8、10、12学年の最後に全国統一試験を受け、上級の学校への進学の可否が決まります。
現在、エチオピア・オロミア州ファンタ―レ郡には14 の小学校と2つの中学校があり、1つは砂糖生産工場内にある総合中学校、もう1つが「みんなの学校」プロジェクトの学校(ダンディ・グイナ中学校)です。この中学校は、政府ではなく現地パートナーNGOであるGTF *2その建設を支援し2003年に設立されました。その後管理機能は徐々に政府に引き継がれてゆき、現在は総合中学校と同様、政府管理下の学校になっています。これまでこの中学校に対しては、GTF・学校・アフリカ理解プロジェクトが共同で、教室などのハードの充実、日本からの教師派遣などを行い、同中学校の女子学生に奨学金も付与しています。 2008年9月現在の同校の在校生は、9学年が280名、10学年が240名の計520名。教師は、数学3名、自然科学[物理1名、化学1名、生物2名]、社会科学[公民1名、歴史1名、地理1名]、語学[英語2名、共通語(アムハラ語)1名、国語(オロモ語)1名] の計14名(校長を除く)となっています。 1クラスの生徒数は60-70名。1学年4クラスの授業は、厳しい暑さのため、授業は午前中のみ具体的には、以下のような時間割で行われています。(2008年9月期・10学年A組の場合)
『みんなの学校』の生徒であり、アフリカ理解プロジェクトの奨学生2名GTF奨学生1名(ともに女子)を対象に、日常生活や将来の夢などをインタビューしました。以下はそのインタビューを対話形式でお伝えします。 Opening(GTFスタッフ)(アフリカ理解の説明と今日のインタビューの目的の説明) Q1(星野) (自己紹介の後、)今日は、日本の子どもたちが一番関心をもっているみなさんの普 段の生活についてお聞きしたいと思ってやってきました。まず皆さんの学年と家族について教えてくださいますか。 A1-a(タエィボ・ファンターレさん) 私は今、第10学年で、兄弟は男が6人、女が3人います。 A1-b (ガレ・ロバさん) 私も今、第10学年で、兄弟は男が5人、女が4人います。 A1-c (サリマロ・ファンターレさん) 私は今、第10学年で、兄弟は男が4人、女が3人います。 +聞き取り調査の対象となったタエィボさん、ガレさんの詳細プロフィール(こちら) Q2(星野)次にみなさんの生活についてお聞きしたいと思います。私は日本では普段会社員として働いていますので、会社のある日は大体いつも朝7時ごろに起き、朝食を作って・食べてから、10時頃に会社に着き、18時ごろ仕事が終わったら家に帰って夕食を作り、それを食べた後、風呂に入ったりして、24時ごろ寝るような生活をしています。 みなさんの生活はいかがですか。学校がある日の1日について教えてください。
A2-a(タエィボ・ファンターレさん) 私の1日は6時に始まり(中略:詳細は表を参照)22時ごろに終わります。家族が皆一緒に寝ているので、夜はいったん皆と一緒に寝て、皆が寝静まった頃に起き出して勉強しています。 A2-b (ガレ・ロバさん) 私もタエィボさんと大体同じような生活をしています。朝がタエィボさんより少し早いのは、兄弟が小さくて手がかかるためです。 A2-c (サリマロ・ファンターレさん) 私は今、寮にはいっているため、(前述の)2人とは異なった生活をしています。 寮は基本的に自炊なので、朝・昼・晩と食事は全て自分で作って食べています。お昼は、寮が学校に近いので、一旦寮に戻ります。(通学生には、国連食料計画<WFP>による給食支援あり。)学校が終わった後は、図書館で勉強し、図書館が閉まった後は、寮に戻って夕食の後は寝るまで勉強ができます。 Q3(星野)今度は、みなさんの好きな科目について教えてください。 A3-a.(タエィボ・ファンターレさん) 私は、生物、化学が好きです。 A3-b (ガレ・ロバさん) 私は地理と歴史が好きです。 A3-c (サリマロ・ファンターレさん) 私は、英語と化学です。 Q4(星野)(一同:将来が楽しみですね。) ところで、みなさんはどうして学校に通うようになったのでしょうか。また、将来の夢は何でしょうか。 A4-a.(タエィボ・ファンターレさん) 私は、他の人がサポートできるようになりたくて、学校に来ています。将来は医者になり、ここの人々を助けたいと思います。 A4-b (ガレ・ロバさん) 学校には、親の薦めで来ることになりました。将来の夢は持っていますが、今は内緒にしておきたいと思います。 A3-c (サリマロ・ファンターレさん) 私は、勉強を通して生活を変えてゆきたいと思って学校に来ています。近い将来の夢は上級の学校へ進学することです。 Closing(星野)今日は(約1時間の) 長い時間、ありがとうございました。
インタビューを通して『みんなの学校』を取り巻くコミュニティが教育に抱く期待の大きさ、そしてそれを背負う子どもたちの気概を肌で感じました。エチオピアからの帰路、ドバイに向かう空港のカウンターには、中東に出稼ぎに向かう女性たちの姿があり、その1人は「主人も中東の別の国で働いているのよ。」と屈託もなく語っていました。良い教育を受けた人たちが、良い指導者を選ぶようになり、みんなが揃って暮らせるような国になって欲しいものだと思わずにはいられないひと時でした。 注 *1エチオピアの初等教育は、1-4年(小学校前期)5-8年(小学校後期)9-10年(中学校)に別れており、10学年は16歳相当。ただし、教育開始・継続の実情は、地域によっても大きく異なるため、留意が必要。 *2グディナ・トゥムサ基金(GTF) 1990年に設立されたエチオピア政府登録NGO。本部はエチオピアの首都アジスアベバにある。GTF の活動は、困難に直面している人々の精神的、物質的ニーズに包括的に取り組むことを目的とし、政府の支援を十分に受けられない状況にいる人々を支援している。 グレートリフトバレーの中に位置するファンターレ郡は、標高千m前後の平坦な地形にあり、現在の人口は、約7 万人。政府主導による砂糖生産工場の拡大に伴い、人口は増加。他方、約5 万5 千人のカラユ遊牧民は、国立自然公園の制定、砂糖生産工場の拡大により、エチオピアの中でも最も条件の悪い乾燥した地域に追いやられている。 GTFはこのような環境下にあるカラユ遊牧民を対象とした農村開発プロジェクトを95 年から実施し、政府のNGO 関連法令に沿って、省庁や地域住民組織、他のNGO(キリスト教復興開発教会(CRDA)、基礎教育ネットワーク、放牧民フォーラムなど)の関係者との連携をもちながら事業を進めている。 Gudina Tumsa Foundation S U P P O R T |
なぜ、教育支援が重要か 牧畜民を取巻く環境と教育 気候変動と牧畜民の暮らし 気候変動と牧畜民の暮らし 2008年の干ばつ報告
これまでの支援実績
第1回詩とエッセイコンテスト 第2回詩とエッセイコンテスト
オープニングセレモニー
支援者のスタディツアー NGO-JICA相互研修 S U P P O R T 「みんなの学校」に協力したい-->> オリジナルグッズ購入でサポート オリジナルグッズ購入でサポート |