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ファンターレの干ばつ報告

GTFによる開発パートナー向け報告(2008年5月30日)より

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(以下は、2008年5月の半ばに、Gudina Tumusa Foundationが開発パートナー向けに発表・送付した、カラユ地域の状況の警告と報告の日本語訳。)

アフリカは、異常気象によって年々暑くなっている
この最新報告書は、2008年の4月と5月の状況を報告するものである

気候変動の影響は年々目立ってきています。カラユの長老たちによれば、カラユ地域でこれまで7年に1度起きていた干ばつ(かんばつ)が、今では2年に1度という状況です。このため、牧畜民の生計は大きな打撃を受け、干ばつのショックから立ち直る余裕をもてなくなってきています。

ファンターレ郡の雨季は年に2回です。カラユの長老による定義では、干ばつは、大・小雨季の降雨の欠如あるいは減少によって起こるとされています。

地元では、短い雨の時期のことをフルマタと呼び、2月と3月の間に来るとされています。この期間の少ない降雨が、ファンターレ郡の牧畜民にとって重要な放牧地を再生させ、さらに水位が低くなった井戸や乾ききった低地を水で満たしてくれるのです。しかし、その重要な小雨季の雨、そして大雨季(ジーナ)の雨が予定どおり来ないと放牧地が乾き、家畜と人間が困難な状況に陥ります。この危機的な水不足が放牧地一帯の干ばつを引き起こし、緊急的な状況となるのです。

5月の半ばあたり、ファンターレ郡にあるいくつかの村に3日間にわたる、にわか雨がありました。そのため、コド, ガルチャ, ダガエドゥ, イララ, トゥトゥチ地区の牧畜民は数日間の降雨を得ることができました。しかし、その雨は相当な数の家畜たちの死を引き起こしました。なぜ家畜たちが死んだかというと、衰弱していた家畜たちは極端な気候の変化についていけなかったからです。時期はずれのにわか雨はヤギ、ヒツジなどの家畜に大きな被害を及ぼします。衰弱している家畜たちは、時期はずれのにわか雨という気候変化の影響を受けやすくなっています。

干ばつは家畜の食料、家畜や人間にとって必要な水を干からびさせます。家畜や人間の様々な病気の発生により、多くの家畜、特に羊ややぎが犠牲になります。地元の情報によると、高温で高齢の男女が亡くなったそうです。
カラユの長老は“私たちが草と水を探し続けるためには2-3頭の家畜たちを犠牲にしなくてはなりません。”と話します。 

放牧地と水の不足

ファンターレ郡の多機関による共同緊急声明によると、貯水池の水が減少しています。井戸水だけが唯一の水資源です。地区内にある11の動力ポンプくみ上げ式井戸のうち、たった3つでしか十分の水をくみ上げることができません。うち2つの井戸は50%の稼働率です。残りの6つの井戸は地下水の水位の低下やポンプの故障のため、水を十分にくみ上げることができません。

さらに、水不足と飼料不足により、家畜の生産性が下がってきました。それが牧畜民の村に食糧危機をもたらしています。家畜の世話や、水、砂糖を遠くまで取りに行かないといけないため学校の退学率も上がっています。
以下は干ばつによって家畜を失ったアンタール地区の2つの村の家族のインタビュー(無作為抽出による)をまとめた表です。

表1 干ばつによる家畜への影響
家族の総計数 インタビューをした家族の総計数 死んだ動物の数
Dhebiti 452 25 3,709
Haro kersa 650 15 983

市場

この時期に市場での食料品の価格が急激に値上がりました。これは放牧地域だけではなく、他の地区にも起こっていることです。食料の値段は急激に上がり、穀物や日用品の値段も上昇しました。食料品以外の値段も決して安定しているとは言えません。詳しくは、以下にある表を見てください。

市場で食料品や商品が増えてきましたが、ファンターレ郡では干ばつや病気のために家畜の値段は下落してしまいました。家畜の健康状態が悪化し、その結果家畜はやせ衰え、市場での価値が下がってしまったのです。しかしながら、物価上昇の危機を乗り切るために家畜を手放さなければなりません。ヤギやヒツジなどを売ることは牧畜民の資産の減少を意味します。

地元の市場でのウシ、ヒツジ、ヤギ、ラクダの値段は以前の3分の1にまで低下しました。地元の牧畜民は「これは動物たちを売っているのではなく、捨てているようなものだ。」と話します。そして、穀物やその他の消耗品の値段が急激に上昇しているため、人々はさらに窮地に立たされています。

以下の資料はメタハラ家畜市場と、公設自由市場での物価下落の状況です。通常150-250ブルのヤギや羊の値段は50ブルへと下がり、異常ともいえる値段の下落は他の動物にも影響しています。同時に、カラユ牧畜民が最もよく食べるトウモロコシは100ブルから400ブル以上の値段の上昇がみられます。穀物や家畜の通常の値段と最近の市場の値段の比較は以下の表2と3で表しています。

表2 市場での家畜の価格
No 家畜の種類 2ヶ月前の平均価格 現在の価格 差異 減少(%)
1 ヤギ 230 35 -195 85
2 ヒツジ 250 50 -200 80
3 その他の家畜 1000 850 -150 15


表3 市場での穀物・その他の食料品の価格
No 食料品の種類 2ヶ月前の価格 現在の価格 差異 上昇率(%)
穀物
1 トウモロコシ 300 500 200 67
2 テフ 600 1000 400 67
3 小麦 450 700 250 56
4 大麦 300 550 250 83
その他の食料品
5 16 22 6 38
6 500 950 450 90
7 バター 40 90 50 125

燃料価格の上昇が牧畜民の生活苦に拍車をかけています。この地域ではこの時期、井戸水のみが唯一の水源となり、カラユ牧畜民は発電機の燃料が値上がりしていることで水へのアクセスもままならない状況となっています。

移住

移住は牧畜民による一つの問題解決手段です。問題となってくるのが、伝統的な移住境界線を越えて行くということです。移住先は近辺の地区のマルティ地区やチャーチャー地区(2日間の距離)、西ハラージ区域、ミエッソ地区(3日間の距離)、そしてボサト地区(トゥトゥイから55キロ)。どんどん遠くに移住しています。

カラユ牧畜民たちは良い放牧地や給水地がある場所を半乾燥地帯で探し続けています。牧畜民は通常の乾季には争いの少ない安全な地域か、牧草地や水のある場所へ移住します。

しかし、最近ではこのような安全な地域で開発が進められてきています。砂糖農場がその一例です。長引く乾季で牧畜民は砂糖農場の境界線を越えなければならないのです。これが、牧畜民と農園の衝突を引き起こす原因となっています。さらに、工場の周辺への移住も新たな争いに発展しかねません。たとえば、子どもや女性は工場の汚染水を飲むことで病気になったり、病気に感染したりする状況も出てきています。

紛争

4月、長引く干ばつが発端で闘争が起こりました。この闘争は3人のカラユ牧畜民の死と家畜への襲撃を巡ってアファル族とカラユ族の間で起こりました。この闘争による死人は出ませんでしたが、牛への襲撃が起こりました。闘争は水源と牧草をめぐって起きました。

最近は、カラユ牧畜民と砂糖農園を守るアワッシュ国立公園の警備隊との間でいざこざが起こり、2008年5月30日の情報の提供では、砂糖農園は牧畜民の侵入を防ぐために、軍の力を借りたということです。このような事件は国立公園でも起こりました。

干ばつの影響は、野生動物の住む国立公園内でも見られるようになっているとのことです。野生動物が村に侵入し、人間へ危害を加えたケースがあります。具体的には、5月の第2週に、住民が家畜の番をしているところにライオンが現れ、4人(女性1名、男性3名)がライオンに殺されるという事件がありました。また、餌を探しに家に押し入った猿により女性が重傷を負わされたケースがあります。

このように、少雨によって人間や動物の被害が増大しています。カラユの男性が、ハロカーサの村で殺され、報復でもう一人殺されて、合計3人が負傷する事件がバンティ村のガババで起こったりもしています。

現在サボト地区に隣接している地帯に定住しているカラユ牧畜民たちは、水源をめぐる争いに巻き込まれています。
かつてのカラユの若者は、メタハラやハロでの輸送業や販売業を営む人たちが経営する砂糖農場と争ってきました。牧草地の減少は闘争の勃発を引き起こします。そして、イツオロモ村のバンティから強奪された2730頭の家畜はまだ戻ってきていません。この事件はアファール族とイツ族間の闘争の勃発につながるとも言われています。

人道的な支援

このような状況の中、政府やNGOによるカラユの地区での人道的支援が求められています。今までに行われた活動はGTF、CAREそして地元行政による村々への水の供給です。配水のためにCAREはトラックの提供を、GTFはCanada and Avandale Church of Scotlandによる金銭的支援を受け、燃料や水の費用を支援しました。また地元行政は、調整役を担いました。GTFはまた、各村々への砂糖の運搬支援も行いました。

地元の行政や地域による要請で、砂糖農園は砂糖の運搬用にトラックの提供をしました。しかし、彼らは2008年5月28日に、以降3か月の活動を停止しました。これにより、家畜の死がさらに増えることとなるかもしれません。

緊急呼びかけにより、地域内の資源の配分や管理のための組織として緊急委員会が設置されました。様々なNGOや政府機関がトラック・燃料・資金などを総動員して、砂糖を農園から村々へ運送したり、水を貯水タンクへ運んだりする作業を、牧畜民の集まる村に絞って支援しています。

何をする必要があるのか?

現在の家畜の餌や水の輸送の他に、人々への食糧供給が必要とされています。特に、Tutui, Ilala, Karari, Dhebiti, Haro Karsa, Dhaka Edu, BantiそしてKobo地区です。現在、地域の財政状況はとても厳しく、家畜を守るために、移住をするほかない状況になっています。しかし、彼らが移住すると隣接した地域との闘争が増えるのです。NGOや政府は、干ばつの初期段階での様々なサポートを約束しています。しかし、最終的には、わずかな組織による、砂糖の運輸・家畜の病気治療・貯水タンクの補給と、援助は最初の約束と比較してごく限られたものになっています。問題が残るにも関わらず、現在の人道的状況や食糧保証の問題は理由もなく一時保留となっています。かつて利用できた土地が奪われたために起こった牧草地の減少や干ばつを乗り越えようとしているカラユの人々は、近年の砂糖農園の進出や、国立公園の拡大も重なり閉じ込められているのです。カラユの牧畜民は干ばつによって生まれた問題である牧草地の減少、水源の枯渇、民族間の紛争に直面しているのです。


訳:堀江ひとみ(サポーター)


「みんなの学校」プロジェクト
(08年リーフレット)



アフリカ・エチオピアの現状

たくさんの女の子に教育を。
なぜ、教育支援が重要か

畜民を取巻く環境と教育
気候変動と牧畜民の暮らし
2008年の干ばつ報告

女子学生への支援


これまでの支援実績


エッセイコンテスト

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第1回詩とエッセイコンテスト

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