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「みんなの学校」教師ダイアリー・バックナンバー

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No. 1 2008/11/1「メタハラは熱い」
No. 2 2008/12/
27「熱心な生徒たちと学習環境」
No. 3 2009/3/1 教師の一日
No. 4 2009/8/14 一年を振り返って(前編)
No. 4 2009/8/14 一年を振り返って(後編)
No. 5 ゴミのポイ捨て問題
No. 6 一学期が終わって
N0. 7 最終回「人と人のぬくもり」


「みんなの学校」プロジェクト
(08年リーフレット)

みんなの学校訪問レポート

アフリカ・エチオピアの現状
たくさんの女の子に教育を。
なぜ、教育支援が重要か

牧畜民を取巻く環境と教育
気候変動と牧畜民の暮らし
2008年の干ばつ報告

女子学生への支援

これまでの支援実績


エッセイコンテスト
エッセイコンテスト
第2回詩とエッセイコンテスト

教室建設
教室建設レポート
オープニングセレモニー

研修・スタディツアー
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NGO-JICA相互研修
エチオピア・日本ダンス交流


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 No. 4 2009/8/14 一年を振り返って(後編)

早くも更新、教師ダイアリー第四回(後編)は「試練の二学期」編です。一学期の反省を活かそうと臨んだ二学期でしたが、次々襲い来る難敵に打ちのめされてしまった「試練の半年」、辛い日々が続くこともあった、そんな半年を振り返ってみましょう。

二月中旬、学期間休みを終えた「みんなの学校」は、予想通り、教師や生徒が揃わない中でスタート。「教育局主催・教員対象セミナー」もあって、学校がちゃんと始まったのは三月初旬。「始まっても始まらない」、エチオピアお得意のパターンですね。

学校が本格的にスタートすると・・・・おや、生徒の数が少なくなった?そう、二学期は生徒の出席率は大幅に下がり(※1)、授業に全く出ない生徒も一割ほど・・初めは「長い休みを取ってるなぁ」と考えていたのですが、その生徒たちは結局、最後まで授業に顔を出しませんでした。日本ではそういう生徒に対して教師がケアすると思うのですが、エチオピアでは「生徒が勉強をしたくないなら、教師には何も出来ない」と完全放置。「学びたい人にだけ教える」、その考え方にも一理あるかもしれませんが、そういう態度が全体的なレベル低下の一因になっているのではないでしょうか。教師が助けなければ、生徒は伸びませんよね・・・。

そんな状況に輪を掛けて大変なことが・・・二学期から新しく二部制(※2)が導入され二週に一週は午後に授業を行なうことになったのですが、ここはメタハラ「熱波の町」。二学期は一年の中で最も熱い時期で、午後は気温が四十度にも達します。生徒で溢れかえる教室内の気温は・・・考えたくもありません。気温が生徒の忍耐力を完全に超えており、午後の授業では何をどうしても生徒は聞く耳を持ちません。六限目の授業に行くと六十人学級で生徒がたった十人なんてことも・・・。さすがにこれでは授業が予定通り進むはずもなく、どんどん遅れていく授業プラン。午後に教える週は胃が締め付けられる思いでした。この状況にはさすがの同僚教師たちも参っており、「教師をやめたい・・・」という弱音を何度聞いたことか・・・。


先生の皆さん、一年間ごくろうさまでした

極めつけの問題は、町の教育局。エチオピアでは生徒の退学率や成績が教育局の成績にも直結するらしく、教育局は「(生徒が何をしても)退学はさせない。(カンニングでもいいから)生徒の点数をあげる」という方針なようです。私を含め、この方針のせいで苦しんだ教師多数・・・目的のために手段を選ばない、そんな一部の教育局の人たちのせいで、教師たちは教育局の圧力にも悩まされ続けたのです。

勉強を諦めて学校に来ない一部の生徒、それを野放しにする教師、熱さで授業に集中できない生徒たち、そして手段を選ばない教育局。私個人の力では太刀打ちできない問題に直面し続けた「試練の半年」、それが二学期でした。

だからといって教育局、教師、生徒、彼ら個々人に問題があるとは思いません。彼らと一緒に生活していると、彼らなりに努力している姿を見ることができるからです。むしろ問題があるのは、「制度」なのではないでしょうか。勉強を諦める生徒の多くは掛け算すら危うく、授業に全くついていけていません。それは、理解度を確かめないまま進学させる教育制度の問題ですし、熱さによる授業放棄は「生徒数を増やせ」という圧力が問題、手段を選ばない教育局に関しても、やらないと自分がクビになるという無茶な要求が問題です。教師や生徒の多くは彼らなりのベストを尽くしているのに、その努力が結果に結びつく制度になっていない、それが問題だと感じます。もちろん、その制度を作った人たちもベストを尽くして作ったのでしょうが、やはり、それがいい結果に結びついていない。みんなが努力しているのに、努力の方向が統一されていないために、いい結果が出ない。それがエチオピアの悲しい現実です。


一生懸命に学ぶ補講の生徒たち

そんなことを感じつつ二学期も五月初旬で終了。十年生終了時の国家試験(※3)に向けた最後の補講をやりきると、今年度の日程は全て終了です。「努力が結果に結びつきにくい」と言っても、最後の最後まで補講に出て頑張り続ける生徒もいる。そんな生徒がいる限り、私も自分がやれることを精一杯、頑張っていきたいと思います。


最後の補講事業後の集合写真

そして、今年度の締めくくりは、やっぱり、お祭り!!「ヨシ先生、来週、寮のお祭りを行なうから、絶対来てね。ヨシ先生へのプレゼントも用意したから!」成績が悪くても気にしない!どんちゃん騒いで楽しもう!・・・・・・ん??それでいいのか?という疑問はさておき、今年度最後は、生徒たちとお祭り騒ぎをして伝統衣装のプレゼントをもらい、私の一生の思い出が出来ました。別の日には教師だけでの飲み会も開かれ、普段は「金がない」と嘆いている同僚もこのときばかりはいっぱい飲んでべろんべろんに・・・。辛いこともあった今年度でしたが、最後は同僚も生徒も、笑顔で楽しく締めくくることが出来る、その前向きなエネルギーはエチオピアのすごくいいところですね。ありがとう、そして来年度もよろしく、「みんなの学校」!


寮の卒業セレモニー

※1 一学期は出席率が八割以上だったのが、二学期は六割にまで激減・・・ひどいクラスでは五割にまで落ち込んでいました。
※2 エチオピアでは授業は半日だけで、一学期は午前中に九年生と十年生が同時に授業を受けていました。ところが、二学期は九年生の急増を受けて、九年生と十年生が午前と午後に分かれて授業を受けることになりました。例えば今週、九年生が午前で十年生が午後であれば、来週は十年生が午前で九年生が午後、これが「二部制」です。教室がないための苦肉の策ですね。
※3 エチオピアでは十年生終了時に、「生徒の教育人生を左右する」国家試験があります。内容はセンター試験のようなものなのですが、この試験の点数が悪い生徒は、これ以上の高等教育を受けることができないのです。

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